偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 カフェ開店の夢について、時間をかけて考えた。

 結論は自分の店は持たない。

 決して目標を諦めた訳じゃなく、前向きな結論だ。

 カフェでの仕事が大好きだ。ただ自分の店を持ちたいと思ったのは、居場所が欲しかったから。

 けれど今花穂の居場所は響一の隣だ。

 彼を支えて寄り添いたい。一番優先したいのは夫との暮らしだと気付いたのだ。

「ねえ、それなら花穂も経営に参加してみない?」

「私が?」

「そう。アビリオも開店して三年以上過ぎたし、もっと成長していかないとね。ビジネスを大きしたいなと考えていて。何人かに声をかえていたんだけど、花穂も参加してくれたら心強い」

「でも私は経営の知識がないし」

「大丈夫。私が誘っているのは女性が多いし、中にはお子さんが要る人もいるから。これまで勉強した花穂の知識がきっと役立つよ」

 とくんとくんと鼓動が跳ねる。

「ありがとう。私もやってみたい。みんなで協力したら家庭を大切にしながら好きな仕事ができるかもしれないし、そういった活動をしてみたいな」

 現実は厳しいのは分かっているけれど、大切なものがいくつもあっていいではないかと思う。
「その方向はいいね。私も仕事だけじゃなくていろんなことにチャレンジしたい気分だし」

「頑張ろうね」

 ただの欲張りな夢かもしれないけれど、それに向かって努力するのが楽しいのだ。

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