偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 この辺りは結婚年齢が早いから世間体を気にして娘の結婚を焦っているという可能性はあるが、それにしてもプライドの高い父が娘に頭を下げる程の理由ではない。

 唖然としていると、父がゆっくり頭を上げて口を開く。

「実はお前の結婚と引き替えに援助をして貰う約束になっている」

「援助って、経済的な支援?」

「そうだ」

 花穂は内心首を傾げた。なぜそこまで支援が必要なのだろうか。

「新しい事業でも始める気なの?」

「そうじゃない……借金の返済に必要なんだ。それが無ければ我が家の土地家屋を手放さなくてはならなくなる」

「どうして家を? お金がないなら他の土地を売ればいいんじゃないの?」

 たしか窓の向こう遠くに見える山のあたりまで城崎家の土地だったはずだ。地価が安い地域だが、面積でカバーしてなんとかなるのではないだろうか。

「他の土地などない。これまで切り売りして来て残ったのはこの家だけだ」
「……うそでしょ?」

 花穂は震える手で口元を覆った。
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