偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 興奮する祖父を響一はまあまあと宥めた。頭に血が上って倒れでもしたら大変だ。

「俺も広斗も結婚したくない訳じゃないんですよ」

 ただ相手がいないだけだ。

「そう思うなら見合いでもすればいいだろう?」

「誰でもいいわけではないので」

「そんな贅沢を言える立場にあると思うのか!」

 この様子では明日にでも身上書の山を持って来そうだ。

(はあ……参ったな)

 祖父の言い分も分るが、今はそんなことをしている場合ではないのに。

(見合いなんかより城崎さんの問題をなんとかしないと……ん?)

 響一の脳裏で、ある考えが閃(ひらめ)いた。直後勢いよく立ち上がる。

「な、どうした?」

「会長の言う通り、なんとしても結婚相手を連れてきます。ぜひ歓迎してください」

 驚く祖父に力強く宣言した。

「え……」

 あれほど結婚と騒いでいた祖父がポカンとしているが、響一は生まれたばかりのアイデ
アをブラッシュアップさせるべく急ぎ部屋を出て自室に向かう。

(一番いい方法があるじゃないか!)

 花穂の結婚を阻止し、かつ祖父の不安を払拭し、さらに自分が幸せになる方法が。

 響一は決意を固め、六条家らしい行動力を発揮し動き始めた。
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