偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 不思議な気分だった。同時に嬉しくもある。

「そうしてみますね」

 花穂はとくんとくんと胸が高鳴るのを覚えながら、響一から服を受け取った。

 ファッションショーのように何度も着替えをして、あれこれ悩んだ結果、最終的に全てを買い取ることになった。

 響一が「どれも似合うから全部買おう」と言い出したからだ。

 こんなスケールの大きい大人買いなんて初めてだ。花穂はかなり慌てたが響一の勢いは止まらない。

 服に合わせてバッグに靴にアクセサリーまで複数買い上げた。

「いい買い物が出来たな」

 金額を聞くのが恐ろしくなるくらい散財したというのに、響一は満足顔だ。

「沢山買って下さりありがとうございます。」

(男の人って妻にプレゼントするのが楽しいものなのかな)

「気に入ってくれた?」

 そう聞いてくる響一の目には期待が滲んでいる。

「はい、とても。ライトグレーのワンピースは、お祖父様へのご挨拶のときに着ようと思ってます」

「それがいい。きっと最高に似合うよ」

 響一の表情が嬉しそうに綻ぶ。

「そ、そうだといいんですが……」

 花穂は思わず響一から目を反らした。
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