偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「うわあ、素敵ですね」
壁を覆っていたシートなどが取り払われ、新しい家具を搬入した新居は、改装中に見たときに比べて見違えていた。
どこもかしこものぴかぴかで新築独特の匂いがする。大きな窓からは明るい光が差し込んでいる。花穂は感嘆の溜息を吐いた。
「気に入った?」
各部のチェックをしていた響一が花穂の元にやって来た。
「はい、とても。シンプルなのに温かみもあって……壁紙や床材を選ぶときサンプルを見ていたけど、実物は想像以上にいいです」
初めは自分が決めていいものなのかと、改装に関して意見を言うのを躊躇っていた。
しかし建設会社の担当者との打ち合わせに参加しているうちに、俄然やる気になったのだ。
花穂はカフェの開業を目指しているのもあり、元々インテリアに興味があった。
そのうえ沢山のサンプルや実例の画像を担当者からもらい眺めているうちに、その気になってしまったのだ。
迷いながら一つひとつ選んだ壁紙や、照明を改めて見ると感慨深い。
響一はそんな花穂の様子を嬉しそうに見守っていた。
「キッチンは広々してますね。大きな冷蔵庫を選んだから狭くならないか心配だったけど、全然大丈夫」