桜ふたたび 後編
❀ ❀ ❀
「目が覚めましたか?」
ぼやけた視界の中心に、心配そうな恭子の顔があった。
「赤ちゃんは……」
まだ朦朧とした意識の中で、澪はぽつり呟いた。
質問したと言うより、自問したという声だった。
「あとで……先生からご説明があるそうです」
──また、ひとりぽっちになった。
澪のなかに芽生えていた生命は、もういない。母性がそう告げていた。
空洞になった子宮に、虚しい野分が吹き抜けた。
「……もう、退院できるんですって。ご家族にご連絡しましょうか?」
「……いいえ……」
澪は、微笑もうとして、笑みを作ることができなかった。
「いろいろと、ありがとうございました」
「……何か……飲み物、買ってきましょう」
恭子は、それ以上言葉を重ねることができず、逃げるように病室を出た。
痛々しくて、澪をまともに見ることができなかった。
「目が覚めましたか?」
ぼやけた視界の中心に、心配そうな恭子の顔があった。
「赤ちゃんは……」
まだ朦朧とした意識の中で、澪はぽつり呟いた。
質問したと言うより、自問したという声だった。
「あとで……先生からご説明があるそうです」
──また、ひとりぽっちになった。
澪のなかに芽生えていた生命は、もういない。母性がそう告げていた。
空洞になった子宮に、虚しい野分が吹き抜けた。
「……もう、退院できるんですって。ご家族にご連絡しましょうか?」
「……いいえ……」
澪は、微笑もうとして、笑みを作ることができなかった。
「いろいろと、ありがとうございました」
「……何か……飲み物、買ってきましょう」
恭子は、それ以上言葉を重ねることができず、逃げるように病室を出た。
痛々しくて、澪をまともに見ることができなかった。