桜ふたたび 後編
❀ ❀ ❀
防火扉のように会議室の扉が閉じられた。
静まりかえった室内で、フェデーは腕組みをしたまま目を閉じて微動だにせず、マティーは能面のような顔で視線を下げていた。
立ったまま、じっとジェイを睨みつけた、エルの顔だけが異様に赤い。
『話し合おう』
エルが呻くように切り出した。
『無意味です。速やかに株主に対する責務を果たしてください』
『身内を告発するような恥さらしをして、よくも平然としていられるな!』
『すでにアナリストが嗅ぎつけています。解任という汚名を着る前に、チャンスを作ったつもりですが。
ここで後手に回れば、あなたのポジションも危なくなりますよ。むろん、マティーも』
エルは急に無表情になった。
体内の怒りのエネルギーは、一層激しくなっているに違いない。目が真っ赤に充血して、憎しみをジェイの唇に突き刺している。
『まあいいだろう』
フェデーは独り言のように言うと、掌を下へ向けてエルに着席を命じた。
そして、アイスグレーの瞳をジェイへ向ける。
『私もリタイアにはいい歳だ。会長はエルに譲ろう』
『そうですね』
マティーは当然のごとく賛同する。
AXは創業家であるアルフレックスのものだと、信じて止まない。
『それでは責任をとったことになりません』
『父を陥れて、兄を蹴落としてまで、トップになりたいのか!』
上滑りで短絡的な兄に、ジェイは憐憫しか感じない。
彼が澪を襲撃などしなければ、ここまで彼らを追い込みはしなかったのだ。
防火扉のように会議室の扉が閉じられた。
静まりかえった室内で、フェデーは腕組みをしたまま目を閉じて微動だにせず、マティーは能面のような顔で視線を下げていた。
立ったまま、じっとジェイを睨みつけた、エルの顔だけが異様に赤い。
『話し合おう』
エルが呻くように切り出した。
『無意味です。速やかに株主に対する責務を果たしてください』
『身内を告発するような恥さらしをして、よくも平然としていられるな!』
『すでにアナリストが嗅ぎつけています。解任という汚名を着る前に、チャンスを作ったつもりですが。
ここで後手に回れば、あなたのポジションも危なくなりますよ。むろん、マティーも』
エルは急に無表情になった。
体内の怒りのエネルギーは、一層激しくなっているに違いない。目が真っ赤に充血して、憎しみをジェイの唇に突き刺している。
『まあいいだろう』
フェデーは独り言のように言うと、掌を下へ向けてエルに着席を命じた。
そして、アイスグレーの瞳をジェイへ向ける。
『私もリタイアにはいい歳だ。会長はエルに譲ろう』
『そうですね』
マティーは当然のごとく賛同する。
AXは創業家であるアルフレックスのものだと、信じて止まない。
『それでは責任をとったことになりません』
『父を陥れて、兄を蹴落としてまで、トップになりたいのか!』
上滑りで短絡的な兄に、ジェイは憐憫しか感じない。
彼が澪を襲撃などしなければ、ここまで彼らを追い込みはしなかったのだ。