再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「なんだ?」


視線に気づいたのか、前を向いたまま問われる。


「いえ、あの……」


いくらなんでも、さっきの話は本気ですか、なんて質問はさすがにできない。


「お前に、俺の本気をきちんと示したかった」


唐突な物言いにピクリと肩が跳ねた。


「出発前の謝罪だけでは、覚悟が伝わらない気がしたから」


赤信号で停止し、彼の目が真っすぐに向けられる。


「蔵元専務に話した内容はすべて本心だ」


迷いのない口調にひゅっと息を呑んだ。


「お前が、好きだ」


声が耳に届いた瞬間、目の前が真っ白に染まった気がした。


……これは現実? 


私の都合のいい夢じゃなく?


「俺を上司ではなく、恋愛対象として見てくれないか?」


「でも、副社長にはなんのメリットも……」


「好きな女とつきあえる以上に望むものがあるか?」


迷いのない言葉が胸の奥に深く刺さった。

閉じ込めて無視してきたはずの想いがあふれそうになる。


なんで、そんな言い方をするの?


「苦手な男からの突然の告白に戸惑う気持ちはわかる。返事は待つが、俺はせっかちであきらめが悪いからそのつもりで」


そう言って、私の頭を軽く撫でる優しい仕草に、胸が詰まった。


本当に信じていいの?


私を試すための罠じゃない?


……この想いを、声に出して伝えていいの?
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