再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
そうだ、今日は火曜日だし……仕事!


慌てて視線を動かし、時間を確認する。

ベッドサイドに置かれたデジタル時計は午前七時を表示している。
 
ここから一旦着替えに戻って出社すると、始業時間ギリギリになる。

いや、最悪の場合、遅刻する。


「す、すみません。副社長、すぐに準備を……」


慌てて起き上がろうとすると強い力で抱き込まれた。


「……副社長? 敬語?」


低く淡々とした声に不機嫌さが滲む。


「ご、ごめんなさい。あの、惺、さん」


「……敬語も早くやめろ」


そう言って、私を腕から解放して自身が先に起き上がり、ベッドから出る。

あらわになったたくましい背中に視線を奪われる。

振り返った彼が少し屈み、私の顔周りの髪を長い指でひと房つまむ。


「早く慣れろよ?」


髪に口づけられ、一気に体が熱を帯びる。

私の変化に気づいた惺さんが、口元を緩めた。


「……そんな顔をしていると、本気で襲うぞ?」


色香のこもった眼差しを向けられ、返答に窮したのは言うまでもない。
 
ちなみにシャワーは押し問答のすえ、借りた。

さらに大体のものは作れるらしい惺さんは私の入浴中に、朝食まで用意してくれていた。

どこまでも完璧な彼にため息しかでない。
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