飛べない小鳥は見知らぬ運命の愛に震える
デザートも終えて、コーヒーを飲んでいるときだった。
「話をしてもいい?」
改まって美鷹がたずねた。
琴鳥は頷く。自分を落ち着かせるようにコーヒーを一口飲んだ。
「あのときの男が現れたとか」
「はい……」
遭遇した晩、半ばパニックになりながら美鷹に電話した。
美鷹は琴鳥を落ち着かせ、話を聞いてくれた。おかげで琴鳥は自分を取り戻し、土曜日の約束のおかげで日々をがんばれた。
「私のストーカーだと思う。君に迷惑をかけてしまってすまない」
琴鳥は憤りを感じる反面、納得した。美鷹は素敵だ。振り向かせたくてストーカーになるのもわかる気がする。
「前にもつきまとわれて警察を呼んだことがあった。最近は見なかったから諦めたのかと思っていたんだが……申し訳ない」
「悪いのはストーカーです!」
琴鳥が言うと、美鷹は少しさみしそうに微笑した。
琴鳥は気まずい気持ちになってうつむいた。
「気晴らしが必要だな」
美鷹が言い、琴鳥は顔を上げた。
「つきあってくれないか」
琴鳥は目をみはった。
「変な意味じゃないよ、買い物につきあってってこと!」
変な方でもいいのに。
思って、琴鳥はそんな自分にびっくりした。顔がカーッと熱くなる。
「おつきあいします」
もじもじとうつむいた。美鷹はひそやかに笑った。
美鷹は車を走らせ、郊外のアウトレットに向かった。
富士山の近くにある広大な敷地に、数多くの店が立ち並ぶ。
土曜日だった上に外国からの観光客も多く、場内は混雑していた。
ブランドショップに迷いなく入る美鷹に、琴鳥は戸惑いながら続く。
美鷹は店員と談笑しながら服を選ぶ。