飛べない小鳥は見知らぬ運命の愛に震える
 ようだ?
 ひっかかる。そして気がついた。
 気晴らしは、琴鳥のためだったのだ。
「……ありがとうございます」
 胸の奥がじんと熱くなった。
「こちらこそ。楽しい1日だった」
 美鷹は目の端に笑みを浮かべた。
「ちょっと寄り道していいかな」
 美鷹の問いに、はい、と返事をする。
 琴鳥の家の最寄りのインターを降りた車はそのまま街中の商業ビルに向かった。
 駐車場に車を止めて、ビルの屋上に向かう。
 屋上庭園に行くと、夜空の下、植物がライトアップされて幻想的な雰囲気を作り出していた。足元には色とりどりの花が植えられている。
 夜景が見える箇所は壁がアクリルで作られており、ベンチが置かれていた。何人かのカップルが寄り添い合って座っている。背になる部分には背の高い緑があってライトアップを遮り、景色が見やすくなっていた。
 空いているベンチに寄り添って座り、夜景を眺める。
 暗い地上にダイヤモンドをばらまいたように光が煌めいていた。
「寒くないか?」
「大丈夫です」
 むしろ夜風は心地よかった。すぐ隣に美鷹がいるので、緊張で胸がどきどきしていた。
「実は私は鳥を飼っていてね」
「どんな鳥なんですか?」
「いろいろだよ。今度君にも見せてあげる」
 どきっとした。それはつまり、美鷹の家に行くということだろうか。
「写真とか……」
「見せてあげない。今見たら、実物を見たときの感動が薄れてしまうだろう?」
 いたずらっぽく微笑する。琴鳥の心拍が上がった。
「とてもかわいくさえずるんだ。本当にかわいくて仕方がない。人に見せてもみんなほめてくれてね。自慢の鳥たちだ」
 一瞬、その鳥たちがうらやましくなる。愛を注がれ、常に美鷹のそばにいられるのだから。
「ぜひ、見たいです」
 琴鳥が言うと、美鷹はまた微笑した。
「ネットで調べたんだが、コトドリという鳥がいるんだね。君と同じ、琴の鳥と書く」
「知りませんでした」
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