飛べない小鳥は見知らぬ運命の愛に震える
 それでまた、オメガが憎悪の対象になってしまうのだ。オメガが誘惑したせいで。オメガがいなければ。
 もしかして、あの人自身が美鷹を好きなわけではないのかもしれない。あの人の恋人が美鷹を好きになって「運命の番に出会った」彼をふったのかもしれない。それで恨んでストーカーになったのだろうか。
 だが、そうなると結婚詐欺がどうとかいう発言はなんなのか。
 彼は琴鳥に「逃げろ」とも言った。
 結局、メッセージでは男に遭遇したことを伝えなかった。
 明日、直接言おう、と心に決めた。

 翌日は何故か早く目が覚めた。
 今回は駅で待ち合わせだ。入念に準備をして行った。
 プレゼントされた服を着ていくと、美鷹はまた微笑で彼女を出迎えた。
「きれいだ」
 褒められて、照れた。
 今日の美鷹は黒いチャイナカラーのトップスに、スカートも黒だった。ミニスカートにロングスカートをあわせたような形のスカートを履いていた。ストレートのラインが彼女のスマートさに似合っていた。
 ランチをしてから、VR体験をしに行った。対戦ゲームをやってみたら、二人ともスカートだったせいもあってうまくできず、笑いあった。
 お茶をしてから軽くショッピングに行く。
 また何かと買ってくれようとするのを断り、その後は美鷹の予約した店にディナーに行った。
 夜景の見える素敵な席だった。
 結婚詐欺の手口だ。男の言葉が頭をよぎる。
 琴鳥は急に落ち着かない気持ちになった。
 男に遭遇したこと自体、まだ言えずにいた。
 そわそわした様子に美鷹はすぐに気がついた。
「何かあったね?」
 確認するように、聞かれた。
「実は……」
 食事の手を止めて、琴鳥は言った。結婚詐欺だと言われたこと、だから仕事も教えてもらってないのだと言われたこと。
 美鷹は険しい顔をしてそれを聞いた。
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