飛べない小鳥は見知らぬ運命の愛に震える
「君のためにスイートをとったよ」
 美鷹は甘く囁く。
 耳に吐息がかかり、琴鳥は震えた。
 壁にかかった高そうな絵も、質の良い絨毯も、窓から見える宝石のような夜景も、何もかも目に入らなかった。
 ベッドに連れて行かれて、横たえられる。
「なんてかわいい人だ」
 美鷹は興奮したようにつぶやく。
 琴鳥が見上げると、彼女の目はランランと光っていた。
 怖かった。
 嫌だ。
 そう思うのに体の欲求が心にまで侵食してくるようで、思考力が消えて行く。
 手が美鷹を求めて伸びる。
「私のコレクションに加えてあげよう」
 琴鳥の手を握り、美鷹は微笑した。
「君は選ばれたんだ。喜んでくれ」
 美鷹は自身の服を脱ぎ、下着姿になると琴鳥にまたがった。
 アルファの女性である美鷹には、男性と同じものがついている。
 今それは、下着越しにもくっきりと存在感を表していた。
 急激に恐怖が湧いた。美鷹から逃れようとじりじりともがく。
「誘発剤が効いて苦しいだろう? 逃げるともっと苦しいよ?」
 そんな、と琴鳥は美鷹を見た。
 笑みを浮かべたまま美鷹は琴鳥を見下ろす。
 荒い呼吸で琴鳥の服に手を伸ばす。
 琴鳥は身をよじって逃れようとする。が、美鷹に押さえつけられる。
「大丈夫だよ。じきに私のことしか考えられなくなるから」
 琴鳥は恐怖を感じた。
 なのに、体は熱くなる一方だ。
「君は特に気に入った。私の番になれ」
 美鷹が命じる。
「私が好きだろう?」 
 美鷹は自信有りげに微笑む。
 その笑顔にとろけそうになる。
 琴鳥は必死に自制心を総動員する。が、衝動は美鷹を求めてずるりと一歩を踏み出す。
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