ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
“あの時はその腕の意味がわからなかったけれど”

 今度はエッダが私の手を取り彼の腕に絡める前に、自ら手を添えた。

「私だって学習してるんだからね」

 自信満々な顔を彼に向けると、そんな私が可笑しかったのか小さく吹き出した彼はすぐに満面の笑みを浮かべて。

「ふふ、では行きましょうか? 私のお姫様」
「キザな事言われても反応なんかしないわよッ!? 私の……、え、えっと、この国の王子様!」
「そこは私の、で貫いて欲しかったんだけどなぁ」
「本当のことでしょ!」


 初めての夜会……どころかパーティー自体も人生初。
 隣にメルヴィがいてくれるからって、緊張しないなんてことはなく。

「リリ、大丈夫?」

 緊張からか強張った私を心配するように顔を覗かれた。

「入場してから帰るまでずっと側にいるから心配しないでね。不安だったら誰とも話さなくてもいい、そこは俺がフォローするから安心して」
「うん……」
「入ったらまず陛下の挨拶があって、俺たちの発表が行われたら後は自由時間だよ」
「うん……」
「自由時間は、甘いデザートを見に行こう。リリが好きそうなお菓子をいっぱい用意させたから」
< 105 / 231 >

この作品をシェア

pagetop