ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「小部屋での続き。あの行為には、まだ先があるでしょう」

“だって、私は魔女だから”

 これは、気になることを解消したいだけだから。


「だから、お願い」

 そっとしがみつき寄せていた彼の胸元から顔を上げてメルヴィをじっと見つめると、彼の喉がこくりと上下した事に気が付いた。

 ――たったそれだけの事が、何故だろう。
 嬉しく感じるなんて。

 この感情もきっと全部、私が魔女だから?

“わからないけど、それでもいい”

 今気になるのは、メルヴィのことだけだから。
 そう結論付けた私は再び彼の胸元へ顔を寄せる。


 さっき感じ鼓動より一層早くなったその音が伝わり、それだけで満たされるように感じたのだった。
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