ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける

17.まだ愛を刻まれてないわ

「刻むくらい愛を囁くって約束したわ」

 なのに、まだ、刻まれてない。

 今向けられている彼からのこの熱を孕んだ視線が、もし本当に私の魔法じゃないとしたら。
 ううん、もし本当はやっぱり私の魔法だったとしても。

“あんなに必死で私を抱き締めて”

 私は地面に墜落したくないと願えばきっと飛べる。
 けれど、メルヴィはどんなに何を願っても飛べない。
 それなのに、彼は私を庇うために彼の体全てを使って私を守ろうとした。

 願いを叶えられる、そんな魔女を助けようと必死になるなんて魔女である私からすればあまりにも愚かで、そしてそんな彼だからこそ、あの小部屋での続きを、と望んだ。

 そう、願ってしまった。

 そしてそんな私の気持ちを察したメルヴィは、再び私をぎゅっと抱き締め返して耳元で囁く。

「……リリ、あの小部屋……」
「殿下ぁぁあ!! ご無事ですか、どうなりましたかぁぁあ!!」
「「………………。」」


“どちらかといえばインテリでクールな参謀タイプなのかと思っていたけど違ったわね”

 メルヴィに指示され城内へ戻っても尚聞こえるダニエルの悲痛な叫び声。

< 129 / 231 >

この作品をシェア

pagetop