ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「今晩は私たち、きっとお説教されるわね」

 全ての雰囲気を壊された私たち。
 それでも私は胸の奥に燻る確かな熱を感じたのだった。


 そんな予想の通り、その晩は私たちの間に何も無かったけれど。

 

「本日のお召し物はどちらになされますか?」
「んん、そうね、動きやすくてシンプルなやつをお願いできる?」

 エッダに声をかけられた私がそう答えると、すぐに街へ出掛けた時のようなワンピースを出してくれたのだが。


「もっと汚いの、ある?」
「え、汚いの、でございますか?」
「そう、汚いの」

 この後メルヴィが迎えに来てくれることを知っているエッダが怪訝な顔をするが、私は構わず頷いた。


 先日の夜会での約束。
 あの時は盛り上がり、メルヴィの側近であるダニエルからの説教がなければすぐにでも小部屋へ行きそうなほどだったのだが。

“一晩寝たら恥ずかしくなったというか……!”

 一度冷静になってしまうとどうしても羞恥が勝ってしまう。
 それでもあの話はナシで、と撤回する気はなかった。
 

「その、メルヴィが作った薬草畑を見に行こうと思ってて」
「なるほど、畏まりました」
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