ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 その『ずっと』とはいつからなのか。
 彼の中の記憶すら私の魔法で勘違いさせてしまっているのかもしれないが、もしかしたら、本当にもしかしたら私たちが過去に会っている可能性だってあるかもしれないから。

「ねぇ、まずは薬草畑へ行きたいわ!」
「そうだと思ってた」

 彼の言う『私のために作った薬草畑』をしっかりと受け取って。

“もしその薬草畑が本当に『私』のためのものなら、何かキッカケになる過去が見つかるかもしれないもの”

 後でどんな罰がくだるのかはわからないけれど、疑い、拒絶し、全て私の魔法のせいだと決めつけ傷つけたくはない。

 私は、私のはじめて成功したらしい魔法が失敗していることを祈って――


 彼の手を握ったまま、薬草畑へと向かったのだった。
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