ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける

2.偽物だけど心地いい

「ここが王城……!」
「ふふ、中はどうなってるか楽しみだね」

“確かに楽しみだわ”

 自分とは縁がないと思っていたからこそ、こうやってまじまじと王城を見ることなどなかった。

 それを改めてこんなに間近で見上げる日が来るとは……!

 中には豪華な絵画や、変な壺があるかもしれない。
 もしかしたら庭園にはよくわからない銅像が立っているかも!?


 ――なんて、ウキウキしながら足を踏み入れた王城内は。

「案外普通……」
「あはは、期待はずれだったならごめん」

 ごめん、と笑った彼はそのままそっと私の耳元に唇を寄せて。


「でも、案外普通だってことを知っちゃったね?」
「確かに……!」
 
“魔女の興味を誘うのが上手いわね”

 きらびやかなイメージのある王城が案外シンプルであると知った。
 新しい情報を得るというのはわくわくと心が踊るもので。
 

「それに、他の場所も普通なのか確認する?」
「したい!」

 気付けば私はそう即答していた。

 
 はい、と手を差し出されて少し戸惑う。

“手を繋ごうってこと、よね?”
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