ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 ふふ、と思わず自分の表情が緩んだことに気付いた私はコホンと咳払いをする。

「簡単には教えてあげないわ?」
「そうだね、まだ家具の方向性も決まってないもんね?」
「うッ」
「じゃあ、今度こそリリが好きな色の花を探しに行こうか」


 にこりと向けられた笑み、再び繋がれた手。


 メルヴィが薬草に興味を持つ魔女にまた会いたいからと作ったこの畑。
 胸の奥に感じたしこりのような違和感には目を瞑り、私は彼に手を引かれるまま歩き始めたのだった。
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