ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける

10.どこまでが魔法の影響で

 あの後、奥にある庭園だからと油断して手を繋いでいた私は突然開けた大きな庭園に連れられてギョッとしたりと慌ただしくその日を過ごし、胸に感じた違和感から目を逸らした。

 つもりだったのだが。

  
 
「……もやもやするわね」

 こうして部屋で一人になると結局は『薬草好きだと思っていた魔女』のことが気になったしまっていた。

“私の興味がその魔女へ向いてるってことなんだわ”

 メルヴィがそこまでしてもう一度会いたかった魔女。
 そんなの気になるに決まっている。

「私がメルヴィのお陰でここに今居れてるから、その他の魔女のことを気にしてることが不愉快に感じちゃうのよね?」

 だからもやもやしたりなんだかつまらなく感じたり、焦ったりするのだろう。
 居場所を奪われるというのは気持ちいいものではないから。

「それは、もしかして嫉妬なのでは」
「嫉妬?」

 私の質問を聞いたエッダが戸惑いつつそう口にする。
 その単語をぽかんとしながら繰り返した私は、理解しようと脳内で反芻して。


「えぇ、違うわ! これは猫の縄張り争いみたいなものだと思うの」
「そうでしょうか」
「そうよ!」
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