ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 断言しながらボスンとかろうじてあるソファへ寝転ぶ。
 お行儀悪いとわかっているが、このもやもやした気持ちから少しでも気晴らしがしたいと思っていて。

“でもふて寝くらいしか思い付かないわ”

 この部屋には現状何もない。
 買わないと決めたのは私だが、もしここが色んな家具や本で溢れていれば少しは気晴らしが出来たのだろう。
 
 はぁ、と気付けば大きなため息が漏れる。
 そんな私に気を遣ったのか、珍しくエッダの方から話しかけてくれた。


「リリアナ様はお空を飛べるのでしょうか?」
「空?」

 突然振られた話題に興味が出た私はのそりと上半身を起こし、ソファの背もたれに両腕を乗せるようにして彼女の方へと向き直る。

「はい。昔絵本で読んだことがあるのです。何でも冬に魔法使いがその年いい子にしていた子供たちに赤い服を着てプレゼントを配るとか」
「……それ、本当に魔法使いの話で合ってる?」

 聞いたことのない話に思わずそう怪訝な視線を向けてしまうが、変わらずにこりとエッダが微笑んで話を続けてくれた。

「その絵本では箒に跨がってお空を飛びながらプレゼントを配っていて」
「箒に跨がって……」
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