ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
“思ったよりもずっと鍛えてるんだ”
さっきまで不安定なバランスの箒に跨がっていたからか、彼の腕の中はとても安心できて。
「……ありがとう、メルヴィ」
「あぁ、リリが無事ならそれでいいんだ」
彼の紺色の瞳が穏やかに三日月型に細まる。
その優しげな表情に引き寄せられるように気付けば私は彼の瞼へと口付けていて。
「……リリ?」
「あ、えっ!? ちが、今のは……!」
“あんなにメルヴィから触れて貰わなきゃって思っていたのに!”
思わずあたふたと両手をバタつかせるが、私を抱き締めるようにメルヴィが抱えているせいで離れることも誤魔化すことも叶わなかった。
「リリ、ご褒美なら、こっち」
「んっ」
そしてその近さで更に顔を近付けたメルヴィの唇が、あっという間に私の唇と重なる。
掠めるように少しだけ触れた唇はすぐに離れ、けれど彼の情欲に揺れ赤みを増したことでいつもより濃い紺に見える瞳と目が合って。
“足りないって、言われてるみたい”
そう感じたからか、それとも足りないと思ったのは私の方だったのか。
「メルヴィ……」
さっきまで不安定なバランスの箒に跨がっていたからか、彼の腕の中はとても安心できて。
「……ありがとう、メルヴィ」
「あぁ、リリが無事ならそれでいいんだ」
彼の紺色の瞳が穏やかに三日月型に細まる。
その優しげな表情に引き寄せられるように気付けば私は彼の瞼へと口付けていて。
「……リリ?」
「あ、えっ!? ちが、今のは……!」
“あんなにメルヴィから触れて貰わなきゃって思っていたのに!”
思わずあたふたと両手をバタつかせるが、私を抱き締めるようにメルヴィが抱えているせいで離れることも誤魔化すことも叶わなかった。
「リリ、ご褒美なら、こっち」
「んっ」
そしてその近さで更に顔を近付けたメルヴィの唇が、あっという間に私の唇と重なる。
掠めるように少しだけ触れた唇はすぐに離れ、けれど彼の情欲に揺れ赤みを増したことでいつもより濃い紺に見える瞳と目が合って。
“足りないって、言われてるみたい”
そう感じたからか、それとも足りないと思ったのは私の方だったのか。
「メルヴィ……」