ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 ある意味恐怖体験のようなことを口走ったのだった。

 

“紺色の本って言われても”

 にこにことしたメルヴィに押される形で本当に書店へやってきた私たち。

 
「リリ、この本はどうかな」
「『這い寄る夜にハイ、よろう』……? ギャグなの、それとも怖いやつ?」
「さぁ、背表紙の色だけで選んだから」
「部屋に置くんだから中身で選んでっ!?」
 
“本当に背表紙が紺色の本しか手に取らせてくれないんだけど!”

 このまま色だけで選ばれたら、無理やり作られてしまったあの部屋の本棚が絶対カオスなことになってしまう。

 そんな未来を確信した私は、はぁ、とため息を吐いてせめて興味が湧きそうな紺色の本を手に取った。


「…………」
「?」

 パラリと手に取った本を試しに捲っていると、メルヴィからの視線を感じて顔を向ける。

「メルヴィもこの本気になるの?」
「いや、その。……ちゃんと紺色の本から探してくれるんだなって思って」
「!!」

 少し照れ臭そうに言われたその言葉を聞き、ボッと顔から火が出るような錯覚に陥った私は、動揺して本を落とさないよう慌ててしっかり握り直した。
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