ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 ドレスの説明を聞き頷いているメルヴィの頬に両手を添えた私は、そのままグギッと無理やり自分の方へと顔を向け、そして彼の顔をじっと見つめる。

“やっぱり、そうだわ”

「り、リリ!?」
「その花のことは知らないけれど、花じゃなくてメルヴィの瞳の色にそっくり」
「ッ」

 彼の紺の瞳は外側から中心部へ濃紺から淡い青へとグラデーションになっている。
 その色合いは見ているだけで引き込まれそうなほど美しくて。


「どれかを選ばなきゃなら、これにする」


“別に、一番メルヴィに近いからこれを選んだ訳じゃないけれど!”

 それでも、興味を一番引いたそのドレスを私は選んだのだった。
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