【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。


「……奪われて、しまいましたね」

 奏音のかわいさが愛おしいと思うほどに、俺は奏音のことが好きなのかと思う。
 ここまで人を愛したことなんて、今までの俺はあっただろうか。……いや、きっとない。
 奏音の存在が、俺を変えてくれたことは間違いない。 

「初恋が叶った気分は?」

「えっ、気分ですか? そう、ですね……」

 奏音は本当にかわいい。俺の中で奏音の存在が、どんどん大きくなっていく。
 初めて会ったあの日からずっと、俺はずっと奏音のことが好きだったんだと思う。 心を奪われて鷲掴みされて、離してもらえなかった。

「……いい気分、です」

「いい気分? なんだ、かわいい答えだな」

「えっ。かわいい、ですか?」

「ああ、奏音はいつだってかわいいよ」

 奏音の初恋相手に俺を選んでもらえたことが嬉しいし、本当に幸せでしかない。  
 この先の幸せを叶えるなら、もうやっぱり奏音しかいないと確信した。

「奏音、好きって言って」

「えっ! は、恥ずかしいですっ」

 ほらやっぱり、奏音はこんなにもかわいい人だ。

「ほら、言ってよ。俺が好きだって」

 奏音は俺をじっと見つめると、恥ずかしそうに「す……好きです」と言ってくれた。
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