月のない夜に青く溺れて ~彼は本能以上の愛で彼女を包む~
その何かに引き寄せられ、屈しそうになりながら、華凛は答える。
「結局それは愛じゃない。欲望だわ」
見えないなにかに耐え、弱々しく彼を押し返す。
彼もまた何かに耐えながら、その体を彼女から離す。
だん、と大きな音を立てて彼は壁に頭をぶつけた。
「行ってくれ」
壁によりかかり、彼女に背を向けて彼は言う。
「早く」
華凛はのろのろと歩き出す。
後ろ髪がひかれている。
だが、振り返ってはならない。
部屋を出てドアをパタンとしめると、激しい疲労が彼女を襲った。
まだだ。
まだ、この建物から離れるまでは。
重い体を動かして、よろよろとエレベーターへ向かった。
ビルを出てしばらく行ったところに小さな公園があり、ベンチがあった。
彼女はぐったりとそこに座る。
自販機で買った缶コーヒーを開けるのもおっくうだ。
でも、飲まなくては。糖分とカフェインを補給して、動かなくては。
うまく力が入らない手で開け、ひと口飲む。
甘ったるい。
震える腕を上げて、ごくごくと飲んだ。
動きたくなかった。
タクシーを呼ばないと。
そう思うものの、手を動かすのもおっくうだ。
もう少し休んでから。
華凛は周囲に気を配りながら、ベンチに力なく座っていた。
30分ほどは休憩していただろうか。
頭の奥の甘いしびれは薄まったが、頭重感と倦怠感はまだあった。
体調が悪化したので帰ります、と秘書にメッセージを送った。
いつも社長は無理しすぎです。お大事に。と返ってきた。
いい人が秘書で良かった、と華凛は思った。
重い体を叱咤して立ち上がった彼女の前に、女性が現れた。
「結局それは愛じゃない。欲望だわ」
見えないなにかに耐え、弱々しく彼を押し返す。
彼もまた何かに耐えながら、その体を彼女から離す。
だん、と大きな音を立てて彼は壁に頭をぶつけた。
「行ってくれ」
壁によりかかり、彼女に背を向けて彼は言う。
「早く」
華凛はのろのろと歩き出す。
後ろ髪がひかれている。
だが、振り返ってはならない。
部屋を出てドアをパタンとしめると、激しい疲労が彼女を襲った。
まだだ。
まだ、この建物から離れるまでは。
重い体を動かして、よろよろとエレベーターへ向かった。
ビルを出てしばらく行ったところに小さな公園があり、ベンチがあった。
彼女はぐったりとそこに座る。
自販機で買った缶コーヒーを開けるのもおっくうだ。
でも、飲まなくては。糖分とカフェインを補給して、動かなくては。
うまく力が入らない手で開け、ひと口飲む。
甘ったるい。
震える腕を上げて、ごくごくと飲んだ。
動きたくなかった。
タクシーを呼ばないと。
そう思うものの、手を動かすのもおっくうだ。
もう少し休んでから。
華凛は周囲に気を配りながら、ベンチに力なく座っていた。
30分ほどは休憩していただろうか。
頭の奥の甘いしびれは薄まったが、頭重感と倦怠感はまだあった。
体調が悪化したので帰ります、と秘書にメッセージを送った。
いつも社長は無理しすぎです。お大事に。と返ってきた。
いい人が秘書で良かった、と華凛は思った。
重い体を叱咤して立ち上がった彼女の前に、女性が現れた。