月のない夜に青く溺れて ~彼は本能以上の愛で彼女を包む~
朔はぎらついた目で彼女を見る。
「待ってもダメよ」
裏切りはずっとついて回ってしまう。2人の中のわだかまりになり、大きな波となっていつかきっと2人を飲み込んでしまう。
「……これだけは答えてくれ」
彼は絞り出すように、言葉を吐き出した。
「君は俺を愛してくれているか」
華凛は目をそらした。
やがて、弱々しく首をふる。
「無理なの」
それだけを、ようやく答えることができた。
朔は深くため息をついた。
残照は徐々に暗くなり、2人を闇に沈める。
寄せては返す波が、次第に見えなくなる。
古い外灯が、ジジ、と音をたてて灯った。
朔は黙って立ち上がると、コーヒーの缶を拾った。
「帰ろう」
暗がりで背を向けた彼の表情は、華凛には見えなかった。
帰りの車の中で、2人は無言だった。
2時間を居心地悪く過ごし、車は彼女の自宅前に到着した。
大きな門の前に車をつける。
朔はギアをニュートラルに入れて、サイドブレーキをかける。
「今日はいろいろとありがとう」
車を降りて、華凛は言う。
ああ、と朔は答える。
それきり、沈黙が降りる。
門灯で照らされた彼の顔に表情はなかった。
華凛はぎゅっと拳を握りしめた。
「ありがとう。さよなら」
意を決して、背を向ける。
朔が車のギアを入れる音が聞こえた。
車が発進する。
マニュアル車らしいグラデーションのあるエンジン音を響かせながら、離れて行く。
「待ってもダメよ」
裏切りはずっとついて回ってしまう。2人の中のわだかまりになり、大きな波となっていつかきっと2人を飲み込んでしまう。
「……これだけは答えてくれ」
彼は絞り出すように、言葉を吐き出した。
「君は俺を愛してくれているか」
華凛は目をそらした。
やがて、弱々しく首をふる。
「無理なの」
それだけを、ようやく答えることができた。
朔は深くため息をついた。
残照は徐々に暗くなり、2人を闇に沈める。
寄せては返す波が、次第に見えなくなる。
古い外灯が、ジジ、と音をたてて灯った。
朔は黙って立ち上がると、コーヒーの缶を拾った。
「帰ろう」
暗がりで背を向けた彼の表情は、華凛には見えなかった。
帰りの車の中で、2人は無言だった。
2時間を居心地悪く過ごし、車は彼女の自宅前に到着した。
大きな門の前に車をつける。
朔はギアをニュートラルに入れて、サイドブレーキをかける。
「今日はいろいろとありがとう」
車を降りて、華凛は言う。
ああ、と朔は答える。
それきり、沈黙が降りる。
門灯で照らされた彼の顔に表情はなかった。
華凛はぎゅっと拳を握りしめた。
「ありがとう。さよなら」
意を決して、背を向ける。
朔が車のギアを入れる音が聞こえた。
車が発進する。
マニュアル車らしいグラデーションのあるエンジン音を響かせながら、離れて行く。