月のない夜に青く溺れて ~彼は本能以上の愛で彼女を包む~
「君をそのまま感じたい」
 彼女のスーツのボタンをもどかしげにはずす。
 彼が脱がそうとするのに合わせて袖から腕を抜き、彼の背に手を回す。
「恥ずかしいから……お願い」
「ダメだ」
 懇願をはねのけ、彼女の熱く潤んだ瞳を見つめる。
「私、初めてなのに、こんな……」
 羞恥で顔が真っ赤になる。
「そんな顔、ほかの男に見られなくて良かった」
 彼はまた口づける。
 彼女の着ているすべてを脱がして、彼もまた服を脱ぎ捨てる。
 思わず目をそらした彼女の首筋に、彼は唇を寄せる。びく、と体が震えた。感じたことのない甘美な震えが彼女を襲う。
「イヤ……」
 嫌なのに、もっと触れてほしい。
 矛盾した気持ちに、彼女は思わず体をよじって彼から逃れようとする。
「逃さない」
 彼は彼女の上に多いかぶさり、その胸の先端を口に含む。
 歓喜が彼女を襲う。
 白い肌を指が踊り、舌が彼女を攻める。そのたびに彼女の肢体が跳ねる。
 彼とひとつになる喜びに、彼女は声をおさえられなかった。
 快感が波のように何度も彼女に訪れる。
 彼と見た黄金の波が脳裏によみがえる。
 潮が満ちるように彼の愛が満ちる。
 彼女は恍惚と愛に溺れた。

 疲れて眠りに落ちた彼女の頭を優しく抱きながら、朔はこれまでを思い出す。
 パーティー会場で会ったとき、すぐに彼女だとわかった。
 動向は気にしていたから、彼女があのパーティーに参加することはわかっていた。
 ずっと会いたかった。だが、年商が彼女の会社の年商を超えてから、と決めていた。男のプライドとして。
 ようやく年商が上がり、会いに行くことができた。
 だから、強い薬を飲んで出席した。
 なのに、ヒートが発現してしまった。
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