月のない夜に青く溺れて ~彼は本能以上の愛で彼女を包む~
華凛はため息をつく。冗談でそんな報告がされるはずがないのだ。あの国は契約違反や反故を平気で行う。リスク管理できなかった自分の責任だ。
「すぐ国内や別の国への手配をしてくれているのよね?」
「はい。ですが、簡単にはいかなくて」
それで社長の判断を仰ぎにきたというわけだ。
取引を急に減らされたのはこの会社だけではない。某国のほかの企業も同様の判断をしているはずで、同じ目に遭っている企業は国内にほかにもたくさんあるだろう。
それらが集中して同じように野菜や果物を求めれば、当然、品薄になり、競争は熾烈になる。さらに某国自身も輸入を増やそうとして国外の農家から買い付けている。先手を打たれていて、国内の企業はどこも後手にまわっている。
「現状、どれくらい持つの?」
日数を報告される。平均消費量と急遽契約できた農家からの入荷予定数も。
「極力早めに入荷しませんと」
秘書が不安げに言う。
答えられず、華凛はうつむく。
こういうところだ、と情けなく思う。
ほかのアルファならきっと、すばやく判断して動くに違いないのに。
沈黙を破ったのは、会社の電話の音だった。
秘書がとり、困惑して華凛にその相手を告げる。
華凛はデスクの電話の通話ボタンを押した。
「なんの用、鳳城朔!」
「おや、今日は強気でいらっしゃる」
クスクスと朔は笑った。
「なんの用かと聞いているの」
「昨日のキスはお気に召さなかった?」
華凛は黙って通話を切った。
直後、また電話が鳴る。
「私はいないって言って!」
秘書に告げる。
秘書はそのように電話口で伝える。が、また困惑したように保留を押して華凛に言う。
「野菜の件で協力してくださるそうです」
華凛は眉根を寄せてデスクの電話の通話ボタンを押した。
「どういうこと!?」
「君の力になりたくてね。昨日のお礼と——お詫びを兼ねて」
「すぐ国内や別の国への手配をしてくれているのよね?」
「はい。ですが、簡単にはいかなくて」
それで社長の判断を仰ぎにきたというわけだ。
取引を急に減らされたのはこの会社だけではない。某国のほかの企業も同様の判断をしているはずで、同じ目に遭っている企業は国内にほかにもたくさんあるだろう。
それらが集中して同じように野菜や果物を求めれば、当然、品薄になり、競争は熾烈になる。さらに某国自身も輸入を増やそうとして国外の農家から買い付けている。先手を打たれていて、国内の企業はどこも後手にまわっている。
「現状、どれくらい持つの?」
日数を報告される。平均消費量と急遽契約できた農家からの入荷予定数も。
「極力早めに入荷しませんと」
秘書が不安げに言う。
答えられず、華凛はうつむく。
こういうところだ、と情けなく思う。
ほかのアルファならきっと、すばやく判断して動くに違いないのに。
沈黙を破ったのは、会社の電話の音だった。
秘書がとり、困惑して華凛にその相手を告げる。
華凛はデスクの電話の通話ボタンを押した。
「なんの用、鳳城朔!」
「おや、今日は強気でいらっしゃる」
クスクスと朔は笑った。
「なんの用かと聞いているの」
「昨日のキスはお気に召さなかった?」
華凛は黙って通話を切った。
直後、また電話が鳴る。
「私はいないって言って!」
秘書に告げる。
秘書はそのように電話口で伝える。が、また困惑したように保留を押して華凛に言う。
「野菜の件で協力してくださるそうです」
華凛は眉根を寄せてデスクの電話の通話ボタンを押した。
「どういうこと!?」
「君の力になりたくてね。昨日のお礼と——お詫びを兼ねて」