溶けたラムネ入りの炭酸ジュースは、美味しくない。

「じゃあ、先輩も来ますか?」

驚いた。そんな言葉言われると思ってなかったから

「…行っていいのか?ってどこに」

僕は、知り合って1日も経っていない佐々木胡桃という存在を、まだあまり分かっていないのかもしれない。

いや、当然、分かっていない。

「黙ってついてきてくれるなら、いいですよ」

だからって
———こんな誘いに乗る必要あるのか?

「いや、いい。僕は行かない。帰るわ」

僕は帰ることにした。

「え、今のは、ついてきてくれる雰囲気だったじゃないですか」

ついて行ったって、どこ行くかも言わないなら、そんな賭けに乗る必要性が分からない。


僕は知っていたらついて行ったのだろうか

場所にもよるだろうが、僕には課題がまだ残っているという現実。

そんな遊びに付き合ってられるほど、暇じゃないんだ。

「悪いな、課題やらなきゃだから。調子悪いなら、もう帰った方がいいぞ」

そう言いながら、巻かれたおしぼりを広げ畳み直す。

そして僕は、畳み直したおしぼりを使って、こぼれていたメロンソーダを拭く。

「私やりますよ。悪い気するんで、何から何までやってもらっちゃってるから」

「いや、いいんだ、このくらいの片づけなら。仕事より、全然楽だから気にしてない」

こうして僕はこぼれたメロンソーダを拭きあげて、帰る準備をする。

自分が頼んだ残りのコーヒーを一気に飲み干した。

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