溶けたラムネ入りの炭酸ジュースは、美味しくない。
こうしてお水とおしぼりを貰ってくると、何やら胡桃は頬に手を当てて前に重心を置き下を向いていた。

「胡桃?やっぱり体調悪いんじゃないか?」

僕はそっと、机に貰ってきた物を置く。

「そ、そんなことないですよ」

そう言った胡桃の顔は少し赤くなっていて、熱があるように見えた。

「熱あるんじゃ…」僕が、胡桃の顔おでこに手を当てようと近づけると

「大丈夫ですから、先輩」

胡桃は、控えめに微笑みながら、僕の手を避けるように、後ろの背もたれにもたれかかった。


「気にしすぎですよ。
ちょっと二日酔いが残ってるだけですから」

お酒、そんなに飲んだのか。なんて、言ったら余計な気をまわしすぎだろうか、やっぱり、距離が近すぎるか。

「ラムネ、食べたほうがいいんじゃないか。…頭痛、少しは良くなるんじゃないか」

なんて、自分じゃどうすればいいか分からないから、そんな効くかもわからない、気休めのようなことしか言えない。

「そうしときます。わたし、用事思い出したので、先帰りますね。あ、また話したいんで、メアド、教えてくださいよ」

「あぁ、いいけど。用事って、そんな体調で行くのか」

余計なお世話、言われなれた言葉。

そんな言葉を言われるのだろうか。


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