溶けたラムネ入りの炭酸ジュースは、美味しくない。
それを見ていた胡桃は、急いでラムネ入りの炭酸ジュースを飲み干そうとする。

だが、ラムネ入りの飲み物なんて慣れているはずもなく

「ゴホッ....ゲホッゴホッゴホッ...まって、、、」

はあ、焦らせたのは僕か。

「わかったから、落ち着かせな」

僕はさっきおしぼりと一緒に持ってきたお水を、胡桃に渡した。


今日の僕は、胡桃の介助してばかりだな。

胡桃は「ありが..う.ご..います」

そう言いながらゆっくりとコップに口をつけ、ちびちびとお水を飲んでいた。


「先輩が、先に行こうとするからですよ、これは先輩のせいです」

うんうんと首を縦に振りながら、ほんの少しムスッとした顔は、怒らせたのだとわかった。

すこしだけ、ほんの少しだけ、可愛いと思ってしまった。


だって、朝方に見た、初対面でお別れした黄色のカーディガンの女性は、綺麗に見えてたのに。

そんな女性が目の前でまた言葉を話している。

その名前も知らなかった綺麗な女性は、佐々木胡桃と名乗り、目の前に姿を現したのだから。

こうしてほとんど何も知らない胡桃は、誰が見ても綺麗な顔をしていると僕は思う。

それでいて、少し幼い表情をするものだから、可愛げのあるその表情は、僕の頭に焼き付いた。


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