ドロ甘な愛を稀血に溶かして

――今日の昼休みは、教室で寝よう。


机に腕を置き、自分の頭を乗せ目をつぶる。


――最近は、夜眠れない日が続いているからなぁ……


無理やりにでも夢の世界に入り込みたくて、瞼を強めにギューギューギュー。



俺は今まで夜になると、美織ちゃんの夢の世界に入り込むことができた。


それは俺が吸血鬼の血をひく末裔で、美織ちゃんが『(いざな)い人』という特殊な力の持ち主だから。


(美織ちゃんは俺の正体も自分の正体も、全く知らないんだけど)



でも婚約証明書が破られてしまって以来、俺は美織ちゃんの夢の中に入り込めなくなってしまったんだ。

俺たちに結ばれていた赤い糸が、完全に断ち切られたせいなんだと思う。

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