ドロ甘な愛を稀血に溶かして


わかっている。

絶対に、美織ちゃんに近づいちゃダメだって。



美織ちゃんの幸せのため。

稀血の誘い人を狙う吸血鬼の末裔たちから、美織ちゃんを守るため。

暴れ狂う嫉妬心なんて焼却炉にポイして、燃やして灰にしなければいけないってことを。



ちゃんとわかってるよ。

頭ではわかっているのに……



美織ちゃんは今、たくさんの男子に誘われている。

修学旅行の自由行動は一緒に楽しもうって、声をかけられている。



彼女の幸せのために、俺が身を引く?

もし彼氏ができたら、「良かったね」って笑顔で祝福?



フッ、そんなの無理だよ。

美織ちゃんに他の男の手垢がつくなんて、絶対に許せない。



俺の宝物なんだ。

自分の命より大事な、俺のお姫様なんだ。



美織ちゃんが、誰かに奪われるくらいなら……

それなら……

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