ドロ甘な愛を稀血に溶かして
倒れた椅子はもちろん放置。
不機嫌顔で歩き出した俺。
「ちょっと通して」
不愛想な声をはき、人だかりを突っきっていくい。
教室の中央まで来た。
机の前に立ち、片手をつく。
俺と対面状態で座っている美織ちゃんは、状況を飲み込めていないのだろう。
オロオロと揺れる瞳は、不安色に染まっている。
ねぇ、美織ちゃんにわかる?
大好きな人を拒絶しなきゃいけない、俺の辛さ。
溺愛したいのに、距離をおかなきゃいけなくて。
好かれたいのに、自ら嫌われる行動をとらなきゃいけなくて。
言い訳をしたいのに、本当のことを話すこともできない。
地獄のような日々を、毎日送っているんだよ。
美織ちゃんが、他の男にとられるくらいなら……
大事な宝ものが、奪われるくらいなら……
俺がきれるカードは、これしかない!!