ドロ甘な愛を稀血に溶かして
椅子に座ったままの美織ちゃんは、動揺を隠せないようだ。
腰まで伸びる清楚な髪を、小刻みに揺らしながら
「でっでも……この前……私が……」
青ざめた顔で、婚約証明書をじっと見つめている。
これには美織ちゃんLOVEの男子たちが、黙っていられなかったようで
「環、冗談はやめろよな!」
「そうだぞ。清住さんが困ってるじゃないか!」
興奮気味にこぶしを振り、俺に反発してくるけれど
ふっ、冗談ってなに?
俺と美織ちゃんの、何を知ってるの?
余裕の笑みが、俺の鼻から意地悪く洩れてしまう。
美織ちゃんは、俺の幼なじみなんだ。
命をかけて守り通すと誓った、最愛の人なんだ。