ドロ甘な愛を稀血に溶かして
「えっと……その……」
机に置いた手を、困り果てたように見つめる美織ちゃん。
うつむいたまま、沈黙を続けること1分。
「本物です……この……婚約証明書……」
みんなからの視線に耐えられなくなったのか、たどたどしい声を漏らした。
「きゃぁぁぁぁ~!」
「いやぁぁぁぁ~」
こぼれる涙を飛ばすように、荒々しい悲鳴を奏でだしたのは女の子たち。
その中には、過去に俺に告白した子たちの悲鳴も混ざっている。
あっ、勘違いしないで欲しい。
俺への告白は、全てお断りをしてきた。
無表情のまま「ごめん、無理」って。
そりゃぁ、秒で断るよ。
期待させるのも嫌だし。
俺が美織ちゃん一筋なのは、物心ついてからずっとだから。
「でっ、でも……」
椅子に座ったままの美織ちゃんが、震えながら何かを伝えようとしてる。
「婚約は……おじいちゃん同士が決めたもので……あっでもこの前、私が……」