ドロ甘な愛を稀血に溶かして
よし!
見事、俺の理性が勝利!
邪念を振りきることに、大成功。
冷静さを取り戻し、心に余裕ができた。
無気力クールな表情を、俺は顔面に貼りつける。
そして夏川君に、鋭い視線を突き刺した。
「俺たちのサインも、家族の捺印も押してある。信じられないなら、俺たちの親に直接確認して。電話番号教えるから」
「えっ、環の親に。電話? 俺が?」
「父さんは病院勤務で出られないかもしれないけど、母さんになら繋がると思う。俺のスマホ使っていいよ。今すぐどうぞ」
「でっ電話はいい! サインって……あっ、これのことか。マジかぁ……二人は婚約してるのかぁ……」