ドロ甘な愛を稀血に溶かして


目を細め、クラスメイトに向かって勝ち誇った笑みを飛ばした俺。

美織ちゃんを狙う男子を蹴散らすのに、大成功をおさめたのでした。



困惑した顔のまま、クラスメイト達が自分の席に戻っていく。



お姫様は、そろそろ解放してあげてもいいか。

俺は腕の筋肉を緩め、美織ちゃんを腕の中から逃がし、美織ちゃんの机の前に移動する。



椅子に座りながら、気まずそうに顔を上げた美織ちゃん。

俺に何かを伝えたいらしい。

自信なさげに揺らす瞳で、斜め上にある俺の瞳を見つめてくる。



俺に怒りをぶつけたいんだよね?

サクランボに勝てちゃうくらい顔を真っ赤に染めているから、間違いない。



そりゃ~怒るか。

美織ちゃんは、俺以外に好きな男子がいるわけだし。



婚約破棄ができて、自由恋愛がついに解禁。

修学旅行の自由時間で、片思いの彼と急接近できちゃうかも。


俺以外の男子との、そんな極甘な修学旅行ラブを期待していただろうに。
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