コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
***

それから程なくして、水惟は蒼士にプロポーズされた。

「え!水惟が結婚!?」
居酒屋で芽衣子が驚きの声を上げる横で、冴子も同じ顔をしている。

「相手は!?」
「…えっと…営業部の…深山さん…です…」
水惟は恥ずかしそうに俯いて言った。

「え!深山の御曹司っ!?水惟の彼氏ってそうだったの!?」

「あーなんかそんな感じしてたのよね〜。結婚はびっくりだけど、付き合ってそうだな〜って。」
冴子が言った。

「おめでとう。」
「おめでとー!」

「それにしても、水惟が結婚するってなんか早い気がするけど…」
「ん…うーん…あ!仕事は今のまま続けるよ。」
水惟は曖昧な表情を浮かべる。

「もー!冴さん野暮!めでたいんだから飲も!私結婚式のカメラマンやるー!」
「んーそれもそうね。酒の肴に馴れ初めから聞かせてもらおうかしら?」
「え…っ!」

「どっちからいったの?」
「えー…」


水惟と蒼士の結婚はあっという間に社内に広まり、深端の跡継ぎが結婚したことは社外にも広まっていった。

急な結婚だったため、結婚式については仕事の状況が落ち着いてから行うことになった。


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