コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「—って言えた方が優しいのかもしれないな。」

「え……」
水惟がまた戸惑いを隠さない顔で蒼士の方を見た。

「水惟のことが好きだから、正直…今の苦しんでる水惟を見てるのが辛い。」
「………」

「水惟が苦しんでる原因は深端と…俺だから。」
水惟はまた首を横に振った。
「違うよ!悪いのは—」

「水惟は悪くない。俺が今 側にいるから、水惟が深端で辛い立場になってるし、俺が側にいるから、苦手な場所にばっかり連れ出して緊張させてるんだ。」
「…ちがう!ちがうもん!」

「水惟だって本当はわかってるだろ?」
「…()だもん…わかってたって離れたくない…ずっと一緒にいたいよ…大好きなのに…」
水惟はずっと拭うのも忘れて涙を流し続けている。

「一緒にいるために離婚するんだ」

「………なに?それ……意味がわかんないよ…」

「俺はもっとちゃんと水惟を守ってやれるように…水惟に頼ってもらえるような人間になるから。」
蒼士はまた、水惟を見据えた。

「5年、待って欲しい。」

「5年…?」

困惑する水惟に、蒼士は頷く。
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