コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「なのに俺は…ガキみたいな独占欲で…焦って無理矢理…水惟が断れないような言い方でプロポーズして…」

蒼士は後悔を滲ませたような困ったような笑みで言った。

「その結果が…4年前のあの状況。まだ一人前って自信も評価も得られてなかった水惟の評価を歪めて、仕事以外でも苦手なことばっかりさせて…水惟の自信をどんどん失わせてしまった。それをあの時から今までずっと後悔してる。」

初めて聞く、蒼士の本音だった。

「4年前、あんなに仲良くしてた冴子さんや鴫田さんと絶交してたのも…今になって知った。水惟の世界を随分変えてしまったんだなって改めて後悔したよ。」
蒼士は苦しそうに言った。

「でも…約束は…」

「あの約束も、水惟の為みたいな言い方したけど…本当はただ俺が…水惟を手放したくなかっただけなんだ。」

「なら…」
蒼士は首を横に振った。

「水惟と再会できたときは…またやり直したいって思ってたけど、また楽しそうに働けるようになったんだって思ったら…それを壊すのが怖くなった。今度はもう、デザイナーの水惟の邪魔はしたくない。」

「そんな、私は…」
水惟は困ったように眉間にシワを寄せる。

「水惟が俺とのことを忘れてるかもしれないってことも洸さんから聞いてたよ。」
「………」
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