コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「絶っっっ対この赤いロゴがいいです!手描きっぽさがナチュラルな雰囲気で超かわいいです!」

湖上が選んだのは自分が要望したものではなく、先日蒼士に説明した赤いロゴだった。

「えっと、ご要望にお応えしているのはこちらとこちらですが…良いんですか?」
水惟が聞いた。

「はい。私みたいなデザインの素人が考えたようなコンセプトを飛び越えた素敵なデザインだと思います!それに、SUIさんがjärviを見て、お茶をして、お客様目線で感じてくれたことが反映されているところが嬉しいです。このロゴが入ったショップカードとかメニューとかナプキンとか…想像しただけですごく素敵になりそ〜!」

湖上にニコニコと、(こぼ)れるような笑顔で言われ、水惟の胸がじんわりと熱くなった。

「そんな風に言っていただけて、デザインさせていただけて良かったです。」
水惟も満面の笑みで言った。

蒼士はそんな水惟の様子を、嬉しそうにも寂しそうにも見える複雑な笑顔で見ていた。
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