腹黒執事は、強気なお嬢様を溺愛しすぎ


ああ、ムカつく。

全てを見透かしたような鷹司の態度が。

その彼の腕に甘えたくなってしまっている自分が。


腹立たしくてたまらない。


溢れてくる涙が一通り流れ出ていった頃、ようやく鷹司は私を解放した。


かと思えば、ばっさりこんなことを言い放つ。




「正直に申し上げますと、お嬢様はたとえ柳沢様と恋仲になったとしても、まず上手く続かないのではないかと」


「なっ……本当に正直ね!?」


「お嬢様と柳沢様は非常に似た部分があるように思えます。似た者同士だからこそ上手くいくという場合もありますが、あなた方の場合そうではない。彼には、自分にないものを持った香田様が合っていたのでしょう」




鷹司はどうやら真剣に言っているらしいけれど、私と奏多くんに似た部分がある、というのには首をかしげたくなる。皆から愛される奏多くんと、この私が似てるはずない。

でも、奏多くんと葉澄の相性が良かったというのには賛成。

今日初めて恋人らしくしている二人を見て、悔しいけれどお似合いだと思った。



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