ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
「うん。帰ったよ」

久遠が、吸い殻を屈んで拾いながら答えた。

「エラール伯爵の娘と言っていましたね。
アンジェラ・・イタリア系ですね。
アンジュ・・フランス語で天使ですか。
きれいな子ですね」

「うん、母親がイタリア系美人でね。
うちの親父の遠縁にあたる関係だ。
父親も貴族、母親も貴族の末裔。

親同士の思惑、政略結婚とまではいかないが、まぁ、近いものがあったんだろう。
彼女も小学生から寄宿学校で、夏休みもサマーキャンプを転々として、親とはほとんど顔を合わせていない生活だったから。
親との関係が・・複雑なのはわかるけどね」

久遠は手を休め、思い出を語るように

「小さい頃は、よくうちに来て遊んだよ。
俺を黒髪のプリンスと言って、将来結婚するって、宣言していたけど・・」

久遠は腰をかがめて痛むのだろう、トントンと叩きながら

「だから、俺がエミリアと付き合ったのを知ったら、メチャクチャ怒って、絶交だって」

近藤が、意外そうに顔を上げた。

「それって・・嫉妬ですか・・?」

「恋愛感情というより、家族の一員になりたかったのだろうね」

近藤の顔が下を向き、ビニール袋にビールの空き缶を投げ入れた。
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