love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
 とはいえ、今は私と二人きりのせいか、のんびりペースで歩いている。

「走り回んなくていいの?」
 と言ったら、
「は?なんのために」
 と言うのだ。
 覚えてないんだな、と思う。

 そんな昔のことを覚えているのは、きっと私だけなんだと思う。
 念のため先輩とやったこと繰り返しとく?と甲斐に言われたから、記憶にある限りのデートをなぞり直した。

 ただし、甲斐がソフトクリームを分けて食べる、ジュースを味見するまで再現しようとするのには、こっちが戸惑う。

「やめよ、無理しなくていいよ」
 と言ったら私のソフトクリームに顔を寄せて、強引に齧りとって来た。

 うわ、やけかよ、と言ったら、楽しんどかなきゃ損じゃん、と甲斐は笑う。
 そしたらこっちも笑えてきた。

 ただの幼なじみ相手にここまでやるなら、好きな子にはもっと優しいんだろうな、と思う。

 帰り道の貝殻繋ぎまで再現してきたので、随分ご丁寧に、と思った。

 死ぬよりマシ。
 たしかにね。幼なじみに死なれたら、寝覚めが悪いだろうしね。

 その夜、甲斐のおかげで私は死なずにすんだ。

 最初の通過点「貝殻繋ぎ」は、こうして通り過ぎた。

 奇妙なルールに巻き込まれてしまったことにより、私の命運は甲斐に握られることとなる。
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