love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
甲斐が去ってすぐに、
「佐久良、ごめん待った?」と言ってやって来た大和先輩と、私はキスを経験する。
本来ならファーストキスのはずのキスを、何度も繰り返した末に何度目か分からないキスとして、経験するはずだ。
それをすでに知っていた。私は「全然待ってません」と答える。
大和先輩は理知的に光る黒い瞳が印象的で、部活の指導でもいつも優しいし、尊敬できる先輩だ。
「この前の返事を聞いてもいい?」
と言われて、私は6回目の返事をする。
「私も大和先輩が好きです」
そしたら、先輩はスッと抱きしめてくれて、その後に軽いキスをしてくれるのだ。
そういう経験があったから、そのまま進むと思っていた。
でも、6回目の今回は、
「そういえば。さっき、秋津いたけど。なんで?」
と問われる。
「ちょっと、甲斐の家関係の話があって。話してました」
幼なじみであることは話していたと思うので、適当に話を作るつもりだった。
けれど、
「秋津って、佐久良のこと好きなんだと思うんだよね。だから、俺からすればちょっと警戒するな」
と先輩は言う。
この会話は前回までではしたことはなかった。
「いや、絶対にそんなことないです。私のことは、ないってハッキリ言われてるし。私も、甲斐は対象じゃないし」
と言う口で、数分前にキスをしていた事実がある。
でも、恋愛対象だとは思っていないのは本当だ。
「そっか。じゃあ付き合ってくれる?」
と先輩に言われて、私は頷いた。
ここで、キスが―――――。
と思ったら、先輩の手が胸に伸びてくる。
はい?
と思わず先輩を見上げてしまった。
「ごめん、さっき秋津とのあれこれが見えてて。少しショックだったかな」
そう言って先輩が制服のボタンの間から、指を入れ込んでくるのを、私は手でとめた。
順番が違う、と思う。
しかし、先輩は聞き捨てならないことを言っていたので、
「先輩、あれは演技です。あんなキス全部演技。嘘だから」
誤解を解くために、私はそう告げた。
「あのさ佐久良、今のは冗談、だよ」
と目を丸くした先輩に言われて、墓穴を掘ったことを知る。自らキスをした、とばらしてしまったわけなので、ここで私の恋は終わったと思った。
しかし、予想外に、大和先輩は私を抱き寄せてくるのだ。
「あんまり言えないけど、寝取り系好きなんだよね。燃えるし。だから、アリ」
と言ってくる。
いつも理知的な瞳が熱っぽく、いや、ハッキリ言ってエッチな感じに光るので、私の方が若干引いてしまった。
先輩が顔を寄せてくる気配があったので、「あ、来た来た」と思う。
けれど、前5回のキスとは違い、唇の周りをしつこく舐められるキスだったので、正直好みじゃなかった。
さらに、先輩は気を許せばすぐに胸に触れたがるので、ちょっとそれは、まだ、と言って距離を取る。