love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~

受難のはじまり

 私は幼なじみの甲斐とは、絶対に、恋愛関係にはならない自信があった。
 秋津甲斐とは親同士や兄弟も知り合っていて、幼少期の友達も共有していて、学校も一緒だ。いわゆる幼なじみって奴だ。

 私は甲斐のことを男としていいなと思ったことは一度もない。
 顔が好みとか、性格がどうとか以前に、甲斐の過去や中身を知りすぎていたので、好きになる相手にはミステリアスな部分が欲しい私としては、全く恋愛対象じゃないのだ。

 でも、甲斐は兄弟に近い存在だったし、気の置けない仲間や友達としては最適だった。

 高校生になってからも甲斐の家に行くことはあったし、部屋に行くこともある関係だったので、知りたくもないけれど、甲斐の好みを知ってしまっている。
 ときどき、スリープになる前のスマホの画面に表示されたそれを見て、ああ、とため息をつく。

 知りたくもないけれど、隠してもらうのも、知らんぷりするのも変なので、
「甲斐の趣味って、男性基準で標準的なの?」
 と聞いて、
「見るなよ、エッチ」と言われる。

「トレンドがあるもんなんだよ」と言われて、「へぇ」と答えて、会話終了。
 恋愛対象じゃないから、別に甲斐がどんな好みでもいいし、どんな女の子が好きだろうと、関係ない。
 深入りしないし、こだわる必要もないと思っている。

 周りがだんだんと男女間での慎みと持ち始めて、付き合うか付き合わないかと意識し始める中でも、甲斐とは関係なく一緒にいられると思っていたのだ。
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