冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
そう、この電話の相手は血のつながりのない兄である。幼い時にお互いの両親が再婚し、兄妹として育った。
兄は、母の連れ子で、物心ついた時から見た目は男なのに心は乙女なのだ。恋愛対象は、男性で、いろいろあったが、今はそんな兄を両親は理解して兄の生き方を見守っている。
法律上性別は男と女とはいえ、姉妹のように育った兄妹だからか、恋愛ごとの相談はする間柄だ。
だから、お互いの恋愛に詳しい。
「ジェシーに素直によりを戻そうって言えばいいじゃない」
『こっちから頭を下げるのは嫌だ。僕は悪くない。愛想よくしてモテるジェシーが悪いんだ』
どうやら、ジェシーが誰にでも愛想よく、それに嫉妬した兄とケンカになり、兄から一方的に別れを言ったのだろう。
はぁぁ…と世話の焼ける兄にため息が出る。
「ジェシーが嫉妬しなかったら、ふっきりなさいよ」
『ありがとう、砂羽。僕、頑張るよ』
ジェシーを嫉妬させる作戦が上手くいくかはわからないが、詳しい内容は、メールでという事になり、高かったテンションも落ちていった。
砂羽は、通販サイトでランジェリーショップを運営している。
中学生で止まった155センチの小さな身長に対して、自分の胸は発育する一方で、日本のメーカーの下着でフィットするサイズがなかなかなく困っていた。ある時、義母である母が、大量に外国メーカーの下着を購入してきたことがきっかけで下着に興味を持った。